「ビワの葉療法」とは


「ビワ」は誰もが目にする身近な果物ですが、その葉は古くから健康に良いとされ、手軽な家庭療法として親しまれてきました。

1.はじめに

「ビワの葉温熱療法」は、ビワの葉療法と温灸療法を合わせた療法で、両者の相乗効果により、私たち人間の持っている自然治癒力(生命力)を高めて病気を治すという最高にすばらしい家庭療法です。
昭和の初めに札幌鉄道病院の福島鐵雄博士は、

  1. ビワの葉療法の奏効は迅速である
  2. かつ、確実性がある
  3. そして、万病に奏効する

と語り、ビワの葉療法の即効性、確実性、もろもろの症状に対応できることを列挙しています。

2.ビワの葉療法の歴史

1) 釈迦三千年の仏教医学
インドのお釈迦様の経典(仏典)のひとつ『大般涅槃経』(だいはつねはんぎょう)の中で、ビワの木は「大薬王樹」、ビワの葉は「無憂扇」と呼ばれ、大変優れた薬効があると伝えられています。
例えば、「大薬王樹、枝、葉、根、茎ともに大薬あり、病者は香をかぎ、手に触れ、舌で舐めて、ことごとく諸苦を治す」と記されています。
また、中国の明時代(1366−1644)に発行された『本草綱目』(1956年、李時珍著)の中にも、ビワの葉の効用についての記述があります。

2) 奈良時代に仏教とともに中国から伝来
禅文化研究所の文献によれば、ビワの葉療法は鑑真和尚(唐招提寺建立)が中国から日本に伝えたとされています。
特に、時の天皇、聖武天皇のお妃の光明皇后が730年に「施薬院」(今の病院)を創設し、そこでもビワの葉療法が行われていました。
一般には、お寺の僧侶が寺の境内にビワの木を植えて檀家の人々や村人にビワの葉療法を行い、病人を救ってきました。
しかし一般には「ビワの木を庭に植えると病人が絶えない」とか「縁起が悪いのでビワの木を庭に植えてはならない」という迷信がありました。

3.ビワの葉療法のいろいろ

具体的には以下のようなものが挙げられます。

1) ビワの葉を直接患部に貼る方法
ビワの葉は色の濃い古い葉を使用します。これを患部に当てて貼っておくと、体温によりビワの葉が温められて薬効成分が少しずつ皮膚から浸透し、痛みや腫れがとれたりします。
例えば、捻挫や末期ガンの痛みに奏効したという事例があります。
体温で葉がすぐにバリバリになるので、葉の上にラップや油紙を貼っておくとより効果的です。

2) 金地院療法(ビワの葉をあぶって撫でる方法)
臨済宗の寺、金地院(こんちいん:静岡県引佐郡細江町)で河野大圭(こうのたいけい)師が行った療法で、これにより難病に苦しむ20万人以上の人々が救われたと言われています。
緑の濃い厚手の生葉の光沢のある表面を焦げない程度に火であぶり、2枚合わせて両手で10回ほど擦り合わせ、これを1枚ずつ両手に持って熱いうちに皮膚に直接密着させ、押し揉むようにして撫でます。
撫でる場所はまず腹部を6〜7分、丹田とみぞおちを入念に行い、その後、背、肩、腰、尻まで全部で10分程度行います。
最後に局所、例えば肝炎なら肝臓部の腹部と背部に行います。

3) ビワの葉温灸(ビワの葉に棒もぐさを使う方法)
ビワの生葉に棒もぐさを使用する温灸法で、一般に大変よく普及しています。栃木県真岡市の長蓮寺が発祥の地と言われ、現在はそのお寺出身の濱田峯瑞先生や自然療法研究家の神谷富雄先生が普及しておられます。
ビワの葉を患部やツボに当て、その上に棒もぐさを立てて温灸します。

  1. ビワの葉のアミグダリンなどの薬理作用
  2. 棒もぐさによる温灸作用
  3. 棒もぐさの押圧による指圧効果

などがあるとされ、実際に大きな効果を上げています。
ただ、煙が出る、においがする、火の粉や灰の始末が大変、などの弱点もあり、特に安全性の面で老人や子供には難しいようです。

4) ビワの葉エキスの温灸(もぐさ式温灸器)
特殊な器具(もぐさ式温灸器)の先端部にビワの葉エキスを染み込ませ、棒もぐさを使って行います。
これは熊本県の島田修先生らが普及されている方法で、これも大変効果的です。ビワの葉エキスを使用するため、特に身近にビワの葉のない地域の人々は重宝します。
ただ、もぐさを使うので煙やにおいが強く、火の取扱や灰の処理でも苦労します。

5) 遠赤外線式温圧器
遠赤外線の熱でビワの葉エキスを蒸気化して皮膚を温めます。
遠赤外線は他の熱源に比べて深達力が強く、皮膚表面だけでなく身体を芯から温めることが期待できます。
市販されている遠赤外線式温圧器は医療機器としての承認を受けており、具体的な効能効果としては、

  1. 疲労回復
  2. 血行を良くする
  3. 筋肉のこりをほぐす
  4. 筋肉の疲れをとる
  5. 神経痛・筋肉痛の緩和
  6. 胃腸の働きを活発にする

が挙げられています。
この温圧器を実際に肌に当ててみると、最初はふんわりと温かいのですが15秒ほどでギュッと熱感が増し、とても気持ちの良いものです。
もぐさを使わないので毎日続けても安価に済むこと、灰や火の粉が飛ばず安全であること、などの利点もあります。
このため、自宅やマンションはもちろんのこと、ホテルや病院などでも安心して使用することができます。

6) 枇杷葉湯(びわようとう:ビワの葉茶)
ビワの葉を煎じて飲む方法です。
昔から夏負けや暑気あたり、食中毒や大腸カタルの予防の保健薬として愛飲されてきました。
胃腸の弱い人、咳・痰切り、慢性気管支炎などに良いとされ、尿の出が悪くむくみのある場合には利尿作用を発揮します。
また、濃く煮出した煎じ汁は切り傷、虫刺され、アトピー性皮膚炎、かぶれ、やけど、日焼けに良いとされます。
まったくクセのない味で、誰にでも抵抗なく飲めます。

7) ビワの葉風呂
ビワの葉を煮出し、煮出し湯をその葉と一緒に風呂に入れます。
温泉に入った時のように身体の芯から温まり、湯冷めしにくいので冷え症の人にお勧めです。
肌がすべすべになり、アトピーなどの皮膚病や皮膚トラブルの人に良いとされます。
最近では、家庭でも簡単にビワの葉風呂が楽しめる入浴剤も市販されています。

8) ビワの種
自然療法研究家の東城百合子先生によれば、ビワの種にはビワの葉の1200〜1300倍のアミグダリン(ビタミンB17)が含まれているそうです。
アミグダリンには、

  1. 血液浄化作用
  2. 抗ガン作用
  3. 鎮痛作用
  4. 殺菌作用

があるとされ、ビワの種を食べると血液がサラサラにきれいになり、いろいろな病気の予防と治療に役立つと言われています。
生のままだと苦くて食べにくいので焙煎して食べることが多いようです。最近では、焙煎した種を微細粉末にしたものや、さらにそれを錠剤タイプにしたものも販売されており、誰でも手軽に試せるようになりました。

9) ビワ化粧水
ビワの葉を使った化粧水も市販されています。
保湿力があり、みずみずしい肌になるので、肌がとても美しくなったとか、いろいろな皮膚トラブルが良くなったという事例があります。特にアトピー性皮膚炎の方にはお勧めです。

10) ビワの葉酒
普通の果実酒を造る要領で、よく洗ったビワの葉をホワイトリカーに漬けます。(作り方はこちらをご覧下さい。)
ビワの葉酒は、口内炎、歯槽膿漏、水虫などにつけると良いでしょう。
また、杯半分ほどを薄めて飲むと、風邪を引きにくくなる、胃腸が丈夫になる、疲れにくくなるなどとされ、多くの人々に愛飲されています。
喉が痛い時には、ビワの葉酒を薄めてうがいしたり、薄めたものを喘息の蒸気吸入器に入れて使用するのも良いようです。
また、ビワの葉エキスを使った温湿布という方法もあります。例えば、捻挫、突き指、鞭打ち症、慢性病などに奏効したという事例があります。

11) その他
最近では、昔から健康に良いと言われている玄米酢(くろ酢)にビワのエキスを配合した健康ドリンクなども市販されています。