大型事業縮小、公約断念も
行財政改革難航
“木村丸”の8カ月、迷走も
【写真説明】木村市長=1日の定例記者会見で
周南市の木村市長が就任して8カ月が過ぎ、選挙時の公約としても掲げていた大型事業などの見直しの結果が明らかになってきた。防災行政無線、道の駅、徳山駅周辺整備、学び・交流プラザ、さらに新市庁舎建設や市長の給与カットを含めた行財政改革と山積していた課題にどう取り組んできたのかをまとめた。(安達亮介)
駅周辺整備は公約撤回
市長は昨年4月の現職との一騎打ちとなった市長選では“ふるさと周南を絶対にまもる!”をスローガンに“選択と集中”を目指して西部道の駅の25億円、徳山駅周辺整備の130億円の見直し、市長給与50%カットなどをマニフェストに揚げていた。
しかし5月25日の就任後、6月23日の議会での所信表明演説で徳山駅周辺整備事業の一環の工事費68億円、市の負担分65億円で南北自由通路と橋上駅舎を建てる工事は現行の計画通り進め、駅ビルも解体する方針を発表。これについて市長は「自由通路や橋上駅舎の整備と現駅ビルの解体はセットであることから、リニューアルでの対応は不可能であることを理解した」と説明しているが、就任後わずか1カ月で公約を修正した形となった。
一方、戸田地区に建設を計画している西部道の駅は、有識者5人による見直し検討会や顧客ニーズなどのマーケティング調査を経て施設の建築規模を3分の2にし、年間売上目標は従来の6億円から3億円となる縮小方針を11月に発表した。これにより市の負担分を約17億円から約14億円に減らせるとしている。
見直しに伴い、オープンは2014年(H26)3月までとなり、当初より1年遅れる見込みで、縮小反対の声も上がる中、地元説明会に出席、採算性が不確定なことから「長く愛されるものを」と直接、住民に話して理解を求めてきた。
給与50%カットについては、行財政改革の決意を示すためとして6月議会で条例を提案したが、これは期末手当などを含まない月額給料を半減するもので、公約と違うなどと議員の反対にあい、否決されている。
学び・交流プラザでは迷走
新南陽公民館、体育館、武道館、図書館などを取り壊して1つの施設に集約する学び・交流プラザ(仮称)では、事業費が当初の30億円を5億円以上上回る見込みとなったことで、一度は計画を見直して武道場を除く方針を決めた。ところがスポーツ関係者らから武道場整備を求める陳情が3件出され、市議会も同内容の要望を決議する事態になり、現在は方針をもう一度修正して武道場を整備することに決めている。
また長らく問題となっていた防災行政無線問題は市と工事を請け負っていた企業と和解するという形で収束させた。
既設の消防無線を活用するこの防災行政無線施設整備工事は一昨年7月に日本無線と工事請負契約を締結したが既設消防無線機器製作者の承諾などを巡って着工に至らず、昨年の1月になって双方が相手側に責任があるとして契約の解除を申し出た。市側は工事請負金額の1割に当たる4,882万5,000円の違約金を請求し、市議会では1月から3月にかけ、百条委員会も設置してなぜ着工できなかったか、島津幸男前市長らに証人として出席を求めて調査した。
こうした中、木村市長は就任後に弁護士、建築士などによる検証会を設置して改めて調査し、検証会は日本無線と市、双方に責任があると結論づけた。
このため、違約金請求を取り下げて和解することを決め、12月議会でそのための議案も承認された。責任の所在が明らかにされないままの決着で、白黒がはっきりしないと不満を抱く議員もいるが、早期の防災情報提供システムの整備が市民にとって最善であるという市長の判断に賛同する意見が勝る形となった。
市長は1日の定例記者会見では今までの市政に対し「自分では何点かを採点する余裕はないが、日々市民のために取り組んでいることだけは確か」と話した。
合併による優遇措置の終了、高齢化などの影響で市の財政は一層厳しさを増すと予想される。市長は行財政改革の推進のため4月の機構改革では部相当の行政改革室も設ける。
今後、いかに市民の満足と無駄の削減を両立できるのか、その手腕が注目される。